射法八節のコツ②~胴造り~

弓道~射法八節~

「体を前の方に傾けると体がしんどくない??」
「おへその下に力をいれる??」
胴造りは人によってかなり個人差があるポイントといえますし、普段とは少し違った体の使い方をします。

目に見えないポイントを抑えるのが胴造りの難しさです。
目に見えないということは、指導も難しい、つまり教えられる側も理解が難しいということです。

胴造りのポイント
①胴造りは足踏みと連動した、射法八節の重要な2つ!

 矢をつがえるまでの基本動作で今後が決まる
②胴造りは積み木と同じ!!
③胴造りができないと、安定した的中はだせない!

①胴造りは足踏みと連動した、射法八節の重要な2つ!
 前の記事で足踏みが基礎となると説明した通り、胴造りも基礎部分となります。胴造りをするとき、足踏みを崩さないように行うことが大切です。矢をつがえるまでの動作は、弓を引くときの土台と考えてください。
 机の脚がガタガタしていると、文字が書きにくいですよね、土台は本当に大切。
 この土台を仕上げるために意識するポイント3つ!
 (1)左右の肩を結んだ線(と体の縦の線)
 (2)左右の腰骨を結んだ線(と体の縦の線)
 (3)両足先を結んだ線(と体の縦の線)

を垂直に交差するようにしましょう!(これを三重十文字といいます)
詳しくは別記事にしますね!

②体を真っすぐ上に伸ばすのは間違い!

 よく胴造りを教えられるときに、体をピンっと伸ばして前に15度倒れると教わります。
 実際にやってみると、バランスが悪くて倒れそうになりませんか?土台が安定していない胴造りはよくないです。では、胴造りとは何をすればいいのでしょうか?
 ・頭・胴・腰・足の4つに分けて考えましょう。
 脚(という積み木)の上に腰(という積み木)が乗っていて、腰の上に胴(という積み木)、胴の上に頭(という積み木)がのっているイメージで考えてみてください。

  ・脚
   足踏みはそのままで、両膝をしっかりと伸ばし太ももを外側に開きましょう。そうすることで背筋が伸びやすくなります。
   体重を乗せる位置は、土踏まずの上あたり。(人にはバランスのとり方にタイプがあるので、足の内側よりの人と、外側に体重を乗せた方が安定する場合があります。)

  ・腰
   積み木のイメージで両足の上に腰をそっと置いてみてください。
   この時、腰が沿っている・前側に傾いていると、積み木が滑り落ちそうです。
   腰は真っすぐ置くこと。これがポイントです。この時、重心が低くなれば安定度は増します。
   上半身や背筋は気にせず足はそのままで、だら~と力を抜いてみると、重心が下がるイメージができませんか?チュッパチャップスをそのまま立てるより、飴の方を下にした方が重心が下がって安定するのと同じです。

  ・胴
   脚と腰の積み木を置き終われば次は、胴です。胴体の置き方は次の頭とセットで動かすので、ここでは1つだけ。健康診断でおへそ周りを測っているときに、細く計測されたい人が多いですが、逆にお腹を出してください。丹田(おへその下)に力を入れると教わることが多いと思いますが、機能としては同じです。感覚がつかめるようになったら、おへそ周り全体ではなく、おへその下に力をこめるイメージに変えてみましょう。”心気をこめる”というのは、継続して弓道を続けていけば、自然と身についていくのかと思います。

  ・頭(と胴)
   脚・腰の積み木はそのままで、胴のおへそ周りに力をいれているのは、そのままで、、、おへそから上と頭が、頭のてっぺんから引っ張られるように伸ばしてください。イメージはキーホルダーです。そうすると猫背の人も胸が開きやすくなります。伸ばしたとき、もう一度脚と腰、おへそ周りの腹囲が変わっていないと再度確認してください。ついうっかり、意識し忘れていますよね…何度も練習して無意識にできるようにしてくださいね!
  
③胴造りができないと、安定した的中はだせない!
  弓を引くとき、体は発射台です。大砲が発射するときにグラグラしていると、狙ったところに飛ばせませんよね。最初は安定していても、発射する直前にグラグラしてしまうと同じです。
  足踏みと胴造りは、残心まで形を崩さないことは必須です!!
  足踏み・胴造りで、安定した大砲の発射台をつくりましょう!!
  

まとめ
①胴造りは足踏みと連動した、射法八節の重要な動作!

 (三重十文字を意識しよう!)
②頭・胴体・足の3つに分けて考えよう!
③何があっても一度つくった胴造りはやめない!

弓道の土台ができたところで、
次回は弓を引く準備、弓構えにつなげていきましょう!!


(「足踏み」「胴造り」「弓構え」「打起し」「引分け」「」「離れ」「残心(身)」)

では、教本の内容にも沿って理解をしましょう。

 「足踏み」を基礎として両脚の上に上体を正しく安静におき、腰を据え、左右の肩を沈め、脊柱及び項を真直ぐに伸ばし、総体の重心を腰の中央におき、心気を丹田におさめる動作である。
ー中略ー
全身の均整を整え、縦は天地に伸び、横は左右に自由に働けるような、やわらかい且つ隙のない体の構えを作るとともに気息をととのえることが肝要である。
 こうした沈静的な動作は、つぎの活動的な動作へ移る前提であり「胴造り」は終始行射の根幹となり、射の良否を決定する。

『弓道教本 第一巻射法編〔改定増補〕』財団法人全日本弓道連盟編

 前段では、目に見えにくいポイントの解説がされています。両脚の上に自然に上半身を乗せ、腰の重心を低くし、左右の肩を下げて、背筋と頭を真っすぐに伸ばして、重心は身体の真ん中、腹式呼吸してね!ということですね。呼吸を意識することで、この後の動作に余分な力を使わずに動作することができます。もしかすると、的中させたいっていう欲もおさめておいてね!っていうメッセージがあるのかもしれませんね(笑)
 全身のバランスを整え、体を動かすための働きをする筋肉と呼吸法を準備する「胴造り」が重要なことが教本の短く感じるこの文章でもよ~~くわかりますね!

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